今年に入ってから、映画館に2度も見に行ったのが『オペラ座の怪人 25周年記念公演』でした。
これは昨年の10月に、ロンドンにあるロイヤル・アルバート・ホールで上演された舞台を記録した映画ですが、とてもすばらしかった。もう初演から25年にもなるんですね。
とてもよかったので、成功の秘密を探ろうと今回の『オペラ座の怪人』のヒロインをつとめたシーナ・ボジェスのインタビューを聞いていたら「これはいろんな意味で特別な体験だった」と語った後に、とても面白い発言がありました。「ロンドンの稽古場では、午後3時にお茶のための休憩時間が特別に設けられていた」そうで、ふだんニューヨークの舞台に立っているボジェスには、とてもユニークな習慣に思われたようです。
もうひとつは、東京大学の数物連携宇宙研究機構(IPMU)機構長をつとめる村山斉さんのお話です。これは数学者と物理学者が共同で宇宙の研究をするところですが、世界的な研究機関に所属する教授や研究者には、ひとつだけ約束事があります。それは3時になったら、広いラウンジに集まってお話をするということ。ここにも3時のお茶の時間が設けられていました。専門分野の異なる研究者たちが集まると、そこでは自然発生的に、自分の関心をもっている話が展開されることになります。ふたりで話しているところへ、またひとりが加わり、さらにまた誰かが加わって、話の輪がどんどん広がっていく。
多忙をきわめる人たちが、無理やり3時に集まる休憩時間を作りだす。そのことが全体の活性化につながる。それがふたつの創作の現場に共通しています。3時の休憩は、すぐれたものを生みだす魔法の時間といえそうです。
画像は『オペラ座の怪人 25周年記念公演』のイメージ画像。